ginpeichanが映画を観た感想をだらだらと。


by ginpei_chan
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『親切なクムジャさん』★★★★★★★★★(9点)

ある意味、今年一番楽しみにしていた映画かもしれない、『親切なクムジャさん』
去年、ハマりにハマった、『オールドボーイ』のパク・チャヌク監督の新作にして、
『復讐者に憐れみを』から連なる「復讐3部作」の完結編です。
『復讐者~』は、ソン・ガンホの映画、『オールドボーイ』はチェ・ミンシクの映画、
そしてこの映画は、まんまイ・ヨンエの映画です。
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非道な男に騙されて、13年もの間服役した女が、出所して復讐に動き出すという映画。
ちょっと、『オールドボーイ』と似たシチュエーションですね。

演出面でいうと、今回は、『オールドボーイ』のようなマンガチックな演出や展開ではなく、
どちらかというと、『復讐者~』のような、じっくりとしたドラマチックな演出。
しかし、『復讐者~』がシン・ハギュンとソン・ガンホの二人の男に
焦点を当てていたのに対し、今回は、イ・ヨンエひとりに焦点を絞った演出だったように思う。
今回の敵役はチェ・ミンシクなんだけど、あまりそのキャラクターを深く掘り下げて
いなかったので、描き方として勿体無いといえば勿体無いなあと思った。
でも、「女」であり、「母」であり、「囚人」であり、「復讐者」であるという、
シリーズ一複雑なキャラクターを持つ主人公であったため、
結果的にこの演出は正しかったと思いました。
なので、この3部作は、どれも演出方法が少しづつ違っていて、とても面白かったです。

それから、パク監督の映画の特徴だと思うんだけど、(特にこの3部作ね)
どのシーンも画に力があって、全シーンポストカードにして飾りたいくらい魅力的でした。
なんでだろうね、この監督の映画は、本当に映像にインパクトがある。
その最たるものは、前作『オールドボーイ』だったんだけど、
その前作で力と自信をつけた監督が、
更に今回の『クムジャさん』でその創造力と構成力をフィルムに叩きつけた感じ。
人にはフィーリングってモノがあると思いますけど、僕にはこの監督の画がピッタリくる。
映像で衝撃を受けたのは、ハリウッドでいえばデヴィッド・フィンチャー監督、
日本では岩井俊二監督以来かな。
このパク・チャヌク監督は、(正確にいうと「パク・チャンウク」なのかな)
映画作家として例えるなら、さながら「大人になった岩井俊二」のような気もする。
(なんとなく受けた印象なので、あまり突っ込まないで下さいね)

ストーリーは、時間軸がいろいろ飛んだりするんだけど、
イ・ヨンエ=クムジャさんが、6歳の少年ウォンモくんを誘拐し殺害した容疑で
刑務所に服役し、刑務所でいかに13年間の時間を過ごしたか、
そして、出所していかに準備をし、敵役のチェ・ミンシク=ペク先生を追い詰めていったか、
そして復讐を終えた彼女を何が待っていたのか、そういう筋でした。
時に華麗に、時に冷酷に復讐に向かって突き進むクムジャさんに、
観客の共感を集められるかについては、人によっては難しいかもしれません。
でも、今回は、主人公が「女」であり「母」であるというところで、
クムジャさんのキャラクターやその言動に共感する人もいると思います。
今回の復讐劇では、前2作のような、主人公と敵役との一対一の対決ではなく、
違った形の復讐が用意されていて、それはそれで面白かったですね。
もっと、悪役チェ・ミンシクの魅力を引き出すならば、
一対一という選択肢もあったと思いますので、
どちらが良かったかといわれれば微妙なところなんですけど。
でも、前2作ともそうであったように、復讐によって魂の救済を得られたのかという
点において、今回もクライマックスはとても見ごたえがありました。
ストーリーについて、ちょっとだけ疑問が残ったのは、
クムジャさんが、ウォンモくん殺害を「手伝った」と言っているんだけど、
どう殺害に関わったのかが明らかにされなかった点。
彼女がウォンモくんに対して強烈に後悔の念を抱いているという描写がたくさんあるので、
ペク先生の単独犯行というわけでは無いとは思うんですが、
それが明らかにされなかったので、彼女がペク先生に抱いている憎悪の感情や
復讐の動機づけが少しだけ弱かったかなあと思いました。
(もちろん、娘を人質に取られたというのは強力な動機でしたけどね)
でも、おおむねよく練られていて、独創的で、面白いストーリーでしたね。

キャストについては、主役にイ・ヨンエ、敵役にチェ・ミンシクと豪華絢爛。
上にも書いたとおり、チェ・ミンシクは、もっと目立って欲しかったという気持ちもあるけど。
イ・ヨンエは、本当に美しくて、でも時に決意に満ちた表情を見せたり、
天使のような笑みを見せたり、冷酷な表情を見せたり、
ほんの数回だけですが、とびっきりキュートな表情があったり、最高に良かった!
(ケーキ屋のクンシクくんについて考えるときの表情は必見!ブリッ子萌え~(笑))
また、これはオマケですが、この映画には、
前2作に登場したキャストがたくさん再登場します。
『オールドボーイ』でユ・ジテ演じるウジンの右腕役を演じたキム・ビョンオクが
今回はお笑い担当だったのは最高に面白かったです。(笑)
また、『オールドボーイ』からは、監禁屋のオ・ダルスがケーキ職人役、
催眠術師のイ・スンシンも出てきます。
ヒロインのカン・ヘジョンがニュースキャスター役で出ているらしいんですが、
僕はこの映画を2度観ても分かりませんでした。(笑)
というか、観ている間はそんなこと気にしながら観ていられないし。面白いから。(笑)
そして、ウジン役のユ・ジテが、アッと驚く役で登場しますが、
これは僕も、映画館で「アッ!」と声を挙げてしまいましたよ。迷惑な客ですね。(爆)
それから、『復讐者~』の主役二人組、シン・ハギュン(太った?)とソン・ガンホも
登場するんですが、これはけっこう分かりやすい役で出てきましたね。
また、刑務所の「魔女」役は、『ほえる犬は噛まない』でペ・ドゥナの友人役だった女の子。
今回は180度違う役柄で、「魔女」の迫力満点でした。
まあ、こういったキャスティングは、前2作を観ていたらより楽しめるという程度かな。
みんないい演技しているので、とても見ごたえありましたけど。
あと、この映画について言っておくことといえば、前作に続いて音楽が素晴らしい。
耳に残るメロディーでしたね。

個人的には、前作が圧倒的に良かったので、それよりはハマらなかったです。
しかし、前2作を観たからこその楽しみ方もできたし、充分満足しました。
前作は、日程的な都合で、一度しか映画館で観ることができなかったけど、
今回は2回も観ることができたし。(はるばる車で2時間の劇場にね(笑))

ただひとつ!難点を挙げるとすれば!
2回観に行きましたが、2回ともその劇場の客は僕ひとりだったんですよ!(T△T)
一回は平日のレイトショー、一回は土曜日の夕方。
どうした?関西の映画ファンは総じてこの映画をスルーしたのか?
こんなことでは、パク監督の次回作を関西の映画館で上映してくれなくなっちゃうよ・・・
それが心配でなりません。
やっぱ、前作に続いて暴力表現がキツかったせいかなあ。
興行主も遠慮してしまうのかも。
また、今回は、前作のカンヌ受賞のような話題性も無かったから、仕方ないのかな。
もったいないなあ。僕の観た韓国映画の中では、
『オールドボーイ』の次くらいに良かったよ。
ちょっと甘めだけど、9点です。
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by ginpei_chan | 2005-12-03 23:35 | 映画(さ行)