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ginpeichanが映画を観た感想をだらだらと。


by ginpei_chan
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『嫌われ松子の一生』★★★★★★★★(8点)

近年の邦画界で屈指の傑作、『下妻物語』の中島哲也監督の最新作、
『嫌われ松子の一生』を観てまいりました。
壮絶なまでに不幸な人生を歩む川尻松子の生涯を、
しかし明るく前向きに、ミュージカルシーンをまじえて描く異色作です。
『嫌われ松子の一生』★★★★★★★★(8点)_c0019227_8254638.jpg

まあ、ここ数ヶ月の公開前の話題といえば、
中島監督と、松子を演じた中谷美紀の撮影中の確執を芸能ニュースが伝えたり、
なんかそういう話題作りもどうなんかなーとは思うんですけど、
ともかく本編の内容が面白ければいいなあと思い、劇場に足を運びました。

この映画、ストーリーそのものは、ほぼ救いらしい救いのない
人生まっさかさま転落地獄絵図なんですけど、
それを、徹底的にポップに前向きに描いていて、ときに笑っちゃうほど。
それに、暗い暗い物語を、彼女の存在を知らなかった甥の笙(瑛太)が
生前の松子に関係した人々の回想をもとに追いかけていくという構成で、
その構成のおかげでちょっと救われたかな。
このへんは構成の妙でしょう。
瑛太、よかったですね。なんか、じーんときました。

で、キャストですけども、主演の中谷美紀はまさに熱演でした!
健気というか、バカというか、一途というか、
彼女が愛する男は皆揃ってひとクセもふたクセもある人たちなんですけど、
いろいろな男を、真正面から受け止めて、
男から受ける愛情(たとえ愛情らしきものを受けなくても)を
何倍にも何十倍にもして返していく、超ポジティブ恋愛活劇を繰り広げます。
(結局は、みんな松子の愛を受け止めきれずに逃げていったんだろうけどね)
また、松子の愛した男たちの個性的なこと!
「オマエは「めぞん一刻」の三鷹か!」と、30代以上の観客に
ツッコませるためのキャラなのか、体育教師役には谷原章介。
それから、太宰かぶれの退廃小説家役にクドカンがグッとハマり、
そのクドカンの友人で、クドカン亡き後に松子を奪う兼業小説家役に劇団ひとりを配し、
どちらもその多才ぶりに大いに驚かされる。
そして、武田真治がトルコ嬢(時代ですなぁ(笑))のヒモ役で、短い時間だけど出演し、
その怪演ぶりにワクワクしたし、
中島作品には続けて出演の荒川良々が、
おそらくは、松子が愛した男の中で唯一マトモな男を演じて、
そのたたずまいがクスッと笑えたりね。
そして、松子がその人生を捧げたといってもいい龍を演じた伊勢谷友介・・・。
いやあ、当然カッコいいんだけど、いい役者になりましたなぁ。
そのほか、AV製作会社の社長兼AV女優の沢村社長役に黒沢あすか。
初めて観たんですけど、いい役だったし、いい女優さんですね。
それから、トルコ嬢役で出演したBONNIE PINK!!
すっげえハマってました!(≧∇≦)
この配役を考えついた人は天才かもしれない。
松子の人生を彩った人々、とても個性的で楽しかったです。

この映画はこの映画で突き抜けている作風ですが、
個人的には、どちらかというと、『下妻物語』のときの作風の方が好きですね。
青春モノに、ヤンキーと茨城とゴスロリがハマってて。(笑)
今回は、物語が思いっきり暗かったですからね。
たぶん、ついていけない人もいたかもしれないです。
でも、既に、中島監督しか造りえない映像世界。良かったです。
8点かな。
思いっきり暗いのに、観終わったらなんか清々しくなれる映画でした。

それから。
中島監督、もしかして、中谷美紀の中のMな部分を引き出して
撮影を通して真性M調教をやりたかったんじゃなかろうか?(爆)
by ginpei_chan | 2006-05-28 21:22 | 映画(か行)