ginpeichanが映画を観た感想をだらだらと。


by ginpei_chan
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『硫黄島からの手紙』★★★★★★★★★☆(9.5点)

先週土曜日に観てきました、『硫黄島からの手紙』
少し、観てから時間も経って、いろいろと冷静に振り返ることができるかな、と思います。
この作品は、クリント・イーストウッドが製作・監督・音楽を担当。
さきに公開された、『父親たちの星条旗』との「硫黄島2部作」の対を成す作品です。
『父親~』で脚本を書いたポール・ハギスは、今回は脚本家の日系人アイリス・ヤマシタと
共同で脚本の原案を担当し、製作総指揮も担っている。
脚本そのものを実際に執筆したのはアイリス・ヤマシタ。
また、『父親~』のスタッフがほぼそのまま参加し、
撮影はトム・スターン、美術はヘンリー・バムステッド、編集はジョエル・コックス、
衣装はデボラ・ホッパーと、スタッフはそのまま「イーストウッド組」の面々。
美術を担当したヘンリー・バムステッド氏は、この作品に参加したものの、
完成を待たずして他界したそうで...ご冥福をお祈りします。
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さて。
ストーリーに関しては、もうTVや雑誌のプロモーションで散々書かれているとは
思いますので、あえてここは割愛。
栗林忠道中将率いる日本陸軍と米軍の、太平洋戦争上重要な戦局と謳われた
「硫黄島の戦い」を、前作『父親たちの星条旗』とは逆に、
日本軍側の視点で描いたものがこの『硫黄島からの手紙』です。

御国のため、天皇陛下のため。
そのためなら喜んで死んで、靖国神社でまた会おう。
彼らは、軍人として、その道に殉じてはいても、彼らは今際の際まで、
誰かの父親で、誰かの夫で、死ぬのが怖くて、誰かを愛する、ひとりの人間だった。
そして彼らは、猛烈な暑さと強烈な硫黄臭の吹きつける小さな孤島で、
いつしか生きては帰れないだろうということを悟りながら、
家族を気にかけては手紙をしたためては、届くかも分からないその思いを募らせていた。
盲目的な鬼畜米英主義だと思われていた、または僕らがそう教えられてきた、
かつての「大日本帝国陸軍像」とはうってかわって、そこには、
僕らが心から尊敬し、敬愛するべき父たち、祖父たちが確かに描かれていた。
それでも、彼らは、「天皇陛下、万歳!」と、軍人として死んでいった。
米軍の計画よりも、はるかに長くの日数を生きながらえ、抵抗したあとに。

やはり、僕は思ってしまう。
彼らが、ここまでの思いを託し、遺したこの日本という国は、
今、彼らの思いに応えることができているのか。
何故、僕らは、戦後60年を経てまで、彼らのことをこうも知らずに育ってきたのか。
戦後60年を経てなお、外国人の映画作家に諭されるまで、
硫黄島の戦いのことを、彼らのことを識ろうとしなかったのか。
ときに、人間は、過去を猛省し、自分たちの弱かった部分をひた隠し、
その部分を殴りながらじゃないと前に進めないことがある。

本当はそうではないのかもしれないが、器用に物事を運べないのもまた人間である。
だが、今、「愛国心」を教育基本法に盛り込むとか、
政治家が靖国神社を参拝することに、アジア諸国の反日感情に遠慮しようとか、
集団で虐める子供、虐められて自ら命を絶ってしまう子供、大人もまた然り、
道徳や倫理が乱れ、家族を、親を、友人を、全くの他人を敬わない人間が増え、
きっと、誰もが、この国がどこかおかしくなっていると思っている。
硫黄島で命を落とした彼ら、太平洋戦争で命を落とした彼らは、
こんな子孫を、こんな日本の未来を望んだのだろうか?
(戦争の発端が、どのような理由だったにしても、だ)

きっと、硫黄島をあっさりと陥落させたら、そこを足がかりにして
本土への空襲、上陸が早まっただろうし、
僕らの父や母にも、命の危険が及んだかもしれない。
硫黄島の彼らは、僕らの両親を、日本の美しい本土を守るために散っていった。
あの島で、遠い南の孤島で、荒涼な島で、たくさんの想いを抱えながら。
僕らは、やっぱり、彼らの思いに報いる義務があると思う。そう感じました。

自分が無知だったことを恥ずかしいとも思ったし、もっとこの国のことを知りたいと思った。
そうすべきだと思うし、それは思想の右傾化とかそういうことじゃなくて、
この国の歴史を、ひいては僕らの祖先という「人間」を知らないといけない、と。
きっと、僕らが、学校の歴史の教科書で学ぶ「太平洋戦争」といえば、
真珠湾襲撃とか、広島と長崎の原爆投下や、ポツダム宣言受諾とか、
それらが起きた「日付」という数字を憶えて、
テストの解答用紙の空欄を埋めるくらいの意味しかない。


本当は、もっと映画について書きたかったけど、今日はこのへんで。
先に、こういう話ばかりを書いたんだけど、先に吐き出しておきたかったから。
観終わった後、たくさんの思いが去来して、胸がいっぱいになった作品でした。
この作品の採点としては「9.5点」をつけたんだけど、
『父親たちの星条旗』の9点とは、0.5点しか違わないけど、
あの作品も、とても重要な作品だと思います。
今回のこの映画も、ひとつ、僕の映画鑑賞史の中でも記念碑的な作品になりました。
今年は、『ホテル・ルワンダ』といい、『ユナイテッド93』といい、
それが過去にあったことでも、人間の本質に迫った作品に傑作が多く、
こういう作品を観ることを通して、いろいろと考えさせられることが多い一年でした。
(まだ終わってないんだけどね(笑))

また、映画については、おいおい書いていきます。
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by ginpei_chan | 2006-12-13 19:22 | 映画(あ行)