ginpeichanが映画を観た感想をだらだらと。


by ginpei_chan
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『硫黄島からの手紙』について(追加)

ちょっと日があきましたが、『硫黄島からの手紙』の感想をば書こうかと。
実は、今日の夕方『武士の一分』も観たので、そちらの感想も書きたいところですが、
先に書いておかないと忘れちゃうので。(笑)
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(ネタバレを多分に含みますので、未見の方はスルーをお願いいたします)

まず。
ハリウッド大作への出演が続く渡辺謙さんですが、
この映画でも、貫禄たっぷりに、主役の栗林中将を演じていましたね。
役柄もとても好感が持てるし、いわゆる軍人軍人した人物を主役に据えるよりも、
軍人の前に一人の人間であり、ひとりの父であり、夫であった栗林中将を通して
物語を描いたのは正解だった、正しい選択だったといえるでしょう。
彼の、どこか飄々としたところ、芯の強いところ、部下思いなところ、
それから、意を決して「天皇陛下、万歳!」と叫ぶところなどは、
観ている側ごしても、とても感じ入るところがありました。

それから、もうひとりの主演ともいえる西郷役に嵐の二宮和也。
残してきた妻と、お腹の中の子供の行く末を案じ、密かに生に執着する彼。
諦めなのか、達観なのか、どこか冷めている性格。
彼の存在は、とてもリアルでしたね。
まあ、今の時代から見てリアルなのであって、当時は異色の存在だったでしょうが。
でも、彼のようなキャラクターを描くことも、
この映画を成立させるために必要だったのでしょう。
二宮くんの演技も素晴らしかったと思います。

それから、元馬術競技の五輪金メダリスト、バロン西。
演じたのは伊原剛志です。
まあ、当時から海外に出て活躍した進歩的な人間というのは
あんなもんなのでしょうか...ちょっと浮いてる気もしましたが。
彼の死に様など、とても感じ入るところはありましたが、
たいへん常識人で、ちょっと有り得ないなーと思ってしまいましたが...(笑)
伊原剛志、熱演でよかったんですけどね。

あと、憲兵隊出身の清水を演じた加瀬亮くん。
彼は良かった!演技も、役柄も、彼の最期も。
うん。よかった。
彼が、アメリカ兵の持っていた手紙の内容に心を動かされたシーンとか、
西郷と行動を共にするようになってからの、二人の空気感とか、
二人が戦場という修羅場でいかにちっぽけな存在だったのかとか、
そういう描き方がとても印象的でした。
加瀬くん、いい役をもらいましたね。
そして、それをしっかり演じてくれましたね。

それから、忘れてはならない、伊藤中尉を演じた中村獅童。
まあ、メインキャストでは、彼に損な役回りを集約させた感じですね。
イメージとして、当時の軍人はあんなもんだと思ってましたし。
時折彼が出てくるシーンが挿入されているんですけど、
その、「忘れた頃に伊藤」ってテンポが面白かったですね。(笑)

役に関しては、みんな頑張っていたと思います。
ただ、映画が描きたいことを分かりやすく、また、
アメリカの観客にも、日本人の精神性を理解させるために、
そしてそれをドラマチックに描くために、
メインキャストそれぞれを、ある意味ステレオタイプに描いてしまったのかな。
もちろん、それはそれでリアリティを持って訴える力を備えることになったのだし、
非常にドラマチックな物語として成立したのだし、結構なことなんですけど。
まあ、ある意味ドラマだなあ、とも思うのです。

前作の『父親たちの星条旗』とは違い、この映画は、「死者は語る」。
死者に語らせること、死にゆく人間とその想いを描くことで、
その哀しさ、儚さを感じることはできますが、
『父親~』は、生者に語らせる、生者の苦悩を描く物語。
このへんの対比も面白かったですね。
ラストで、現代まで生き残った「硫黄島」がベッドで逝くのに比べ、
現代になって、調査隊に掘り起こされる「硫黄島」。
ラストシーンも、浜辺で子供に戻ったようにはしゃぐ兵士たちと、
栗林中将の最期を見届けたあと、戦い終わって日が暮れて、
の穏やかな浜辺をぼんやりと眺める西郷。
両方、素晴らしいラストシーンでした。
やはり、この映画は2部作両方観るべきだと強く思います。

イーストウッド、老いてますます盛ん、でしょうか。
次に、どんな題材を選ぶのか、とても楽しみなところです。
この「硫黄島」2部作の反動で、アクションとかサスペンスの、
エンターテイメント系の映画を撮ってくれたら、それはそれでとても楽しみなんですけどね。
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by ginpei_chan | 2006-12-17 23:38 | 映画(あ行)