ginpeichanが映画を観た感想をだらだらと。


by ginpei_chan
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『それでもボクはやってない』★★★★★★★★☆(8.5点)

昨夜観てきました、周防正行監督の最新作『それでもボクはやってない』
痴漢冤罪裁判をテーマにした作品です。
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うーん...重かった。もちろん面白かったんだけど、重かったなあ...
なんというか、男にとっては辛い。辛すぎる話だ。
彼が電車でとった行動は、確かに誤解を招く行動だったかもしれない。
周囲の乗客にとって迷惑な行為だったかもしれない。
でも、その行為によって、彼は望むべくもなく、人生を確実に狂わせることになった。

日本の裁判制度や、司法の置かれている現実、事件に関わる複雑な人間関係などを、
監督が徹底してリサーチした実際のエピソードやデータを交えて語るそのスタイルは
2時間半ほどの上映時間をまったく長いと感じさせない周防正行の真骨頂だった。
ハラハラドキドキ、しかも勉強になるし、深く考えさせられる映画。
真骨頂どころか、周防正行という巨匠の新境地に立ち会うことができてしまった。
今回は、これまでの彼の作品よりは笑えるシーンは少ないが、
シリアスな展開の中にも、ところどころにほんのちょっとだけ、
彼一流の笑いのエッセンスは感じることはできる。
法廷映画と笑いのバランスもまた絶妙で、完全に「してやられた!」という感じです。
次は何を題材に選んでくれるんだろう?また10年以上も待つのだろうか?
観客にそんな期待や不安まで抱かせてしまうのだから、
この監督、やっぱり凄いです。

監督の演出も、ストーリーも、すべてが素晴らしいけど、
もちろん役者たちも負けてはいない。
主役は加瀬亮くんだったけど、本当に見事に被告役がハマッていました。
彼を支える弁護士に瀬戸朝香と役所広司。
母親はもたいまさこ、支援者に山本耕史、鈴木蘭々、光石研。
容疑者を取り調べる刑事に大森南朋と田山涼成。
彼を裁く裁判官に小日向文世。
その他、田口浩正や竹中直人、徳井優などの周防監督作品の常連や、
本田博太郎、大和田伸也、増岡徹などのベテランに、清水美砂の顔も。
キャストは多種多彩で実力派揃いでした。
みんなよかったんだけど、特に凄かったのは裁判官の小日向文世かな...
ああ...あれが裁判官というものなんだろうなあ...とは思うんだけど、
観客を奈落の底に叩き落す素晴らしい裁判官を体現していました。
あと、僕は知らない俳優さんだったんだけど、最初に裁判を担当した裁判官を演じた
正名僕蔵さんという俳優さんも良かったな。
裁判官役の役者さんがいいと、法廷劇って面白いですね。うんうん。

さあ、ここまでは褒めました。(笑)
ただ...やはり、男としてはいろいろと考えさせられる映画ではあったし、
日本の司法制度やその中、周辺にいる人たちの思惑というものを知ることもできた。
裁判官が、「無罪」の判決を出すことがかように難しいことなのかと絶望もした。
主人公は、「自分は無実だ」という真実を知っていたし、
心を折らずに最後まで戦い抜いた。これからも戦うだろう。
彼には、母も、友人も、痴漢冤罪裁判の支援団体も、果てには元恋人も応援してくれた。
でも、彼の前には、刑事も、検事も、裁判官も、彼の人生を悪意なく苦しめる被害者も、
検察側の証人たちも、性犯罪裁判傍聴マニアも、全てが彼を責めたてる。
それまでの彼の人生も、彼の人格や尊厳をも否定され続ける。
うーん...やはり辛いんですよね、この話は。
いい映画でした。素晴らしかった。面白かった。
でも、もう一度観る体力が無い...(泣)

本当に面白かった。2時間半が長いと感じなかった。常に次の展開が気になった。
ストーリーも演出も役者の演技も良かった。
でも、ほんとに疲れたなあ...
8.5点にしておきます。
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by ginpei_chan | 2007-01-22 23:49 | 映画(さ行)