ginpeichanが映画を観た感想をだらだらと。


by ginpei_chan
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『カポーティ』★★★★★★★★★(9点)

「ティファニーで朝食を」を書いたことでも知られるアメリカの天才作家、
トルーマン・カポーティが傑作「冷血」を書いた数年間を描いた『カポーティ』
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幼馴染だという監督のベネット・ミラーと脚本のダン・ファターマン、
そしてこの作品でアカデミー賞主演男優賞を受賞したフィリップ・シーモア・ホフマンの
3人が作り上げた渾身のドラマです。

トルーマン・カポーティは、まさにアメリカ社交界で踊るセレブリティだった。
その彼が、新聞で、カンザス州の田舎町で起きた殺人事件の記事を目にし、
容疑者を取材し、雑誌に記事を寄稿しようと思いつく。
幼馴染みの作家で、後に「アラバマ物語」を書いたネル・ハーパー・リーと共に
カンザスを訪れた彼は、警察や住民、そして犯人の男を取材するうちに、
この事件にのめり込んでいくのだった…
というお話。

とにかくまず、カポーティを演じたフィリップ・シーモア・ホフマンの素晴らしいこと!
これまで、『ハード・エイト』『ブギーナイツ』『マグノリア』『パンチドランク・ラブ』
彼とも違う、『ハピネス』の彼とも違う、『コールド・マウンテン』とも違う、
『リプリー』とも違う、『レッド・ドラゴン』とも『MIⅢ』とも『25時』とも違う、
とにかく、これまでの作品とは違った、全く新しい彼を見ることができました!
声色、仕草、姿勢、全てが全く別人のようです。
聞けば、トルーマン・カポーティ本人もこういう感じだったそうで、
ここまで別人になりきる演技力に脱帽しました。
撮影が進んで、ノイローゼになってしまったということですが、
 それも何故か納得できる、まさに「神の領域」に近づいた仕事だったのかもしれません)
まさに、演技力については誰も疑う余地のない彼の、
ついに代表作が誕生したといっても過言ではない
と思います。

また、ネルを演じたキャスリン・キーナーも素晴らしかった。
びっくりするくらい老けていて、調べてみるとほぼノーメイクだったとか。
トルーマンを理解しようと努め、彼を支えながら、
彼の決定的な孤独に触れようと試みる友人・ネルを絶妙に演じていました。
それから、捜査を担当した州警の捜査官デューイ役にクリス・クーパーも良かったし、
犯人の一人、トルーマンが入れ込むペリー・スミス役のクリフトン・コリンズ・jr.も良かった。
ストーリーもビックリするくらいスリリングで面白かったのですが、
俳優たちがその面白さを100%引き出していましたね。


ストーリーに関しては、よくこの濃さが2時間で収まったな、と、
観終わった後感嘆しました。
恋人との生活もままならぬほど取材にのめり込んでいくトルーマン、
アメリカ文学史上に残る傑作になると確信しながら、
処刑が執行されないことには結末を書けない。
処刑が速やかに執行されることを望む作家としての自分と、
ペリー・スミスに惹き込まれている一人間としての自分の葛藤という
構図が抜群に面白く、その揺れ動く心を演じたフィリップ・シーモア・ホフマンの神業!
もう、傑作ですよ、これは。
素晴らしい映画に出逢えた満足感でいっぱいです。
トルーマン・カポーティをリアルタイムで知らなかった僕でも、十二分に楽しめました。

俳優も、脚本も、撮影も音楽も、全て良かった。
フィリップはこの映画でオスカーを獲りましたが、なるほど納得しました。
他の候補の、『ブロークバック・マウンテン』のヒース・レジャーも、
『グッドナイト&グッドラック』のデヴィッド・ストラザーンも良かったんですけど、
さすがにこの映画のフィリップはそれを上回る出来だったなあ。

また、作品賞にもノミネートされたこの作品ですが、この年に受賞したのは『クラッシュ』
他の候補が『ミュンヘン』、『ブロークバック・マウンテン』、『グッドナイト&グッドラック』と、
この『カポーティ』だったんですが、全ての作品を観終わって、
「なんてレベルの高い争いだったんだろう!」と、今頃驚きましたよ。(笑)
でも、この『カポーティ』が、この年を代表する1本であっても
僕は何の不思議でもないです。

素晴らしい映画でした。
全く興味のない人には眠い映画かもしれないけど、僕はぐんぐん惹き込まれましたよ!
まさに傑作でした。9点です。
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by ginpei_chan | 2007-03-06 18:36 | 映画(か行)