ginpeichanが映画を観た感想をだらだらと。


by ginpei_chan
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2006年 08月 07日 ( 1 )

さて。
もう一度チャレンジします、『メゾン・ド・ヒミコ』の感想を。(笑)
犬童一心監督、田中泯、オダギリジョー、柴咲コウ主演。
ゲイのための老人ホームを舞台にした、切なくてちょっと暖かい物語でした。
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(以下、ネタバレあります。未見の方はスルーしたほうが・・・)

かつて、ゲイであることをカミングアウトして、妻と娘を捨てた男、卑弥呼。
卑弥呼は、ゲイバーの2代目ママとして、店を繁盛させたが、
突然店を閉めて引退、大浦海岸にゲイのための老人ホームをつくった。
卑弥呼は、ガンに冒され、余命いくばくもない状態。
死の床に臥せる卑弥呼のために、若く美しい恋人、春彦は、
かつて卑弥呼と生き別れた娘の沙織を、高い日給をちらつかせ、
日曜日だけ老人ホームの雑用をさせるため、ホームに呼び寄せた。
ある事情で、お金に困っている沙織は、風俗でバイトすることも考えていたが、
春彦の出した好条件に誘われ、日曜日だけホームで働くことにした。
そして、卑弥呼、春彦、沙織の不思議な関係が始まった。

ストーリーはとても独創的。
それでいて、重苦しいものでもなく、ゲイの老人たちを明るくポップに描いていて、
暖かく、それでいて切ない気持ちにさせてくれる物語でした。
(ゲイの描き方には、映画特有の演出はあったと思うけど)

そして、なんといっても凄かったのは、主役を演じた3人。
まずは、卑弥呼を演じた田中泯。
『たそがれ清兵衛』で映画界に降りてきた、世界に誇る前衛舞踏家。
『たそがれ』で見せた、静かな殺気を漂わせる武士の役も凄かったけど、
この卑弥呼役も、彼がいなかったら、この映画の企画そのものが無かったであろうと
思わせるようなハマり役でした。
末期ガンという役柄なので、ベッドに臥せっているシーンが多かったのですが、
身じろぎひとつせず、しかし目と、声と、そのたたずまいで表現する卑弥呼は
息を呑むほど真に迫ったものでした。
舞踏によって、身体の筋肉の細部にわたるまで表現を追及している人間の
演技というものはかくなるものか
と、ある意味打ちのめされました。
寝ているだけ、ではなく、寝ているのに、起きている以上の演技をしている。
彼を見れただけでも、この映画を観る価値は十二分にありました。

そして、卑弥呼の恋人・春彦を演じたのはオダギリジョー。
もう、何も言うことがないくらい美しい!
長い手足、スタイルの良さ、たたずまいの美しさ、声の美しさ、息を呑むほどです。
日本全国津々浦々のオダギリファンの女性たちは、
彼の美しさに息を呑み、しかし彼の役がゲイであることについては
「わたしがここにいるのにー!」的な嫉妬で発狂してしまうでしょう。(笑)
卑弥呼を愛し、しかし内には溢れんばかりの欲望が渦巻いている若者で、
ノンケさえも「あっちの世界」に引きずり込んでしまうような美しさ。
オダギリジョーでないと有り得ない役でしたね。

それから、沙織役の柴咲コウ。
この人は、正直、上手いのか下手なのか、評価に苦しむ女優さんだと思ってました。
綺麗なことは綺麗なんだけど、それだけのような気もするし、
なにしろ、出演作の選び方がどうなのかってところもあったし。
(そう疑問に思った作品は、おしなべて未鑑賞なんですけどね(笑))
で、沙織役。
ああ、この人、こんなに上手かったんだなあ、と。
これは、いろんな映画監督、TVの演出家が使いたくなるわけだわ。
美貌をウリにしているはずの若い売れっ子女優が、
信じられないくらいブサイクな役を演じているのにただただ驚きました。
いや、確かにどこからどう見ても柴咲コウなんですけど、ブサイクなんです。
しかも、性格もけっこうブサイク。
でも、ホームの人たちと触れあい、父と再会し、何かが変わっていく女の子。
絶妙な上手さで演じていました。
ハジけるシーン、悪ノリするシーンはちょっとやり過ぎの感もありますけど、
概ね素晴らしかったと思いました。
(「触りたいとこ、ないんでしょ」は名言中の名言!(≧∇≦))

キャストについては、老人ホームの人たちはさすがにみんな上手かったですね。
公式サイトを覗いてみたら、ほとんどが演劇界のベテランさんのようで。
また、やたら目立っていたのが、脇役だけど西島秀俊。
だれかれ構わず、会社の事務を食っちゃう奴。非常に上手かったです。
いい役者さんになりましたねえ。

それから、この映画、音楽が良かったですね。
エンドロールで、誰なのかな~って思って見ていたら、細野晴臣さんでした。
どうりで上手いわけだー。
でも、サントラで音楽だけ聴くのはもったいない。
やっぱり、映像と一緒に楽しみたい音楽でした。

まあ、ゲイのお話なので、万人にオススメできるわけではありませんが、
ひとつのヒューマンドラマとして、コメディとして、素晴らしい出来だったと思います。
なんといっても、こんな素晴らしい主役のアンサンブルが楽しめる映画なんて
そうそう転がってるモンでもないですよ。
個人的には9点。観る人によっては、かなり大幅に針が振れそうですが。
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by ginpei_chan | 2006-08-07 17:35 | 映画(ま行)