ginpeichanが映画を観た感想をだらだらと。


by ginpei_chan
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2006年 08月 24日 ( 1 )

こんばんは。
タメにタメていた、『ゆれる』の感想をば書いてみようかと思っております。
(ネタバレあります・・・ご注意を)
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『蛇イチゴ』でデビューした西川美和監督の長編最新作で、
吊り橋の上から幼馴染みの女性を転落死させてしまった兄・香川照之と
その兄と、法廷で、面会室で向き合う弟・オダギリジョーの物語です。
単館公開ながら大ヒット中とのことで、日曜の昼に観に行った僕もビックリ、
神戸のシネカノンの座席が半分埋まってました。

観終わって、ふぅ~と深いため息。
兄弟って、一番理解し合える存在かもしれなくて、
でも、背負って歩かなければいけない重い十字架かもしれなくて、
一番近くて遠い存在、正直そんなモンだよなあって思いました。
僕には兄がいますが、正直、理解できないことたくさんありますもん。
「ゆれる」吊り橋の上で、兄は智恵子を突き落としたのか。
智恵子は誤って落ちてしまったのか。
そして、弟はそれを見ていたのか。見ていなかったのか。
吊り橋はゆれて、兄と弟の関係もゆれて、真実もゆれる。
サスペンスの体裁もとりながら、やはり焦点が当てられるのは兄と弟の関係だ。

閉塞した田舎と退屈な家業を捨てて上京し、カメラマンという洒落た仕事と
金と女に不自由しない生活を手に入れた弟の猛。
対照的に、田舎に留まり、家業であるガソリンスタンドで老いた父と働き、
女にもモテず、ガソリンスタンドで働いて家に帰ると炊事と洗濯という兄の稔。
事件が起きた後は、猛の目から見た兄が、
温厚な兄から、皮一枚剥いだら不安定にゆれる兄が現れ、猛は困惑する。
裁判に勝つ見通しがついたにも関わらず、猛は、皆の想像を超えた行動をする。
裁判の行方は・・・。

猛が兄を、田舎で家業を継いで頑張っている姿を格好いいと言うんだけど、
それは、たぶん本心なんだと思う。
自分の東京での生活を捨てる気なんてさらさら無いんだけど、
常に兄に対して引け目を感じていて、
田舎で根を張ることも必要なことなんだということは充分に分かっていて、
猛は兄を慕っている。
でも、兄は、自分でも気づかなかったのかもしれない、
弟に対する気持ちを少しづつ暴いていくことになる。
弟は兄から奪い続け、兄は奪われ続ける。
それでも、兄弟という、たった一本の細い糸がふたりをつなぎ止めていたはずなんだけど、
兄も弟も、その糸が切れるのを、つなぎ止めようともせずにただ眺めていただけだった。
弟は兄から奪い、兄を損なってきた。
兄は奪われ続け、損なわれた。
それでも、切れたはずの細い糸を手繰り寄せようと弟は走り、叫び、
そして兄は少しだけ微笑んだ。
兄弟の絆という儚いものを、とびきり辛辣な形で見つめ、描いてきた監督が、
最後に少しだけ見せた、もしくは監督本人が見出した希望なのかもしれないなと思った。

古今東西、いろんな映画があるとして、
それらを比べてみたところで、映画としては、かなり地味な部類に入ると思います。
そして、明瞭な結末を与えず、スッキリしない人もたくさんいると思います。
でも、よく練られた脚本と、オダギリジョーと香川照之という、
当代随一の俳優のつばぜり合いを楽しめる素晴らしい映画でした。
個人的には、『蛇イチゴ』のような軽妙な作品の方が好きかもしれない。(笑)
だけど、いい映画でした。8.5点。

ちなみに。
パンフレットを買ったんですけど、久々に高かったなあ。800円でした。
でも、ポストカードセットが付いてて、きれいでした。
このパンフのデザインなんかは、いかにも「是枝組」だったなあ。(笑)
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by ginpei_chan | 2006-08-24 19:39 | 映画(や行)