ginpeichanが映画を観た感想をだらだらと。


by ginpei_chan
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2005年の、韓国映画の興行収入第1位に輝いた、『トンマッコルへようこそ』
英語では、「Welcome to Dongmakgol」らしい。
そのまんまやな。(笑)
新人監督のパク・クァンヒョンがメガホンをとり、
チョン・ジェヨン、シン・ハギュン、カン・ヘジョンなどが出演しています。
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朝鮮戦争のさなか、朝鮮半島のとある山の中の、
その存在も知られていない小さな村に、朝鮮人民軍の兵士と、韓国の連合軍の兵士、
そして連合国軍として参戦していたアメリカ海軍の兵士が辿り着いた。
彼らは激しく敵意を剥き出しにし、にらみ合う。
しかし、銃器も手榴弾も見たことのない「トンマッコル」の人々と生活するうちに、
彼らの心に少しづつ変化が現れ始めるのだった。

今もって、南北統一が果たされない朝鮮半島は、
その果たされない融和を夢見てか、韓国では頻繁に戦争に関する映画が作られている。
この映画もまさにそのひとつで、
「朝鮮戦争で呉越同舟した兵士たちの交流」というファンタジーを描いています。
その独創的なストーリーも面白いし、展開も起承転結がしっかりしていて分かりやすい。
観た後で調べてみたら、原作は舞台劇なんですね。
納得です。

で、それを映画化したわけですが...
正直、中盤あたりまでは、面白いとは思ったけど、
どこかリズムというかテンポというか、悪い感じがして、
韓国映画らしくないなあとも思いました。
長くじっくり描くシーンと、そうでないシーンとのギャップが大きかった気がする。
それで、なんとなく鑑賞に集中できない感じがして、ちょっと苦労しました。(笑)
監督が新人ということで、そのへんはまだ手馴れていなかったということかな...
でも、後半からラストにかけては、グイグイ物語に引き込まれたし、
テンポも良かったし、とても面白かったです。
ラストシーンは目頭が熱くなってしまったし、
俯瞰の映像で、スローモーションで空から××が降ってくるシーンは鳥肌が立ちました。
ラストシーンであの画を見せられるたぁ、参りましたよ。
実は、ラスト20分くらいだけ、何度もリピートして観てしまいました。
DVDバンザイ!(爆)

この映画、日本人の僕で、こんなに面白く感じたんだから、
きっと、韓国の人々にとっては、物凄く魂を揺さぶられたんだろうなあ...
大ヒットの背景には、そういうところもあったんじゃないかなと思います。

キャストも、パク・チャヌク監督作品でお馴染みのシン・ハギュンやカン・ヘジョン、
そして、僕は初めて観たんだけど、チョン・ジェヨンも男前で良かったです。
映像も、独創的な村の感じや山の美しい景色など、観ていてとても楽しかった。
音楽は、なんと久石譲だったそうで、なるほど素晴らしかったです。

やはり、韓国映画って凄いなあ...
面白いもの、そうでないもの、それはもちろんあるんだけど、
面白いものを見せられると、「日本じゃ作れないんだろうなあ...」って思っちゃうくらい凄い。
悔しいんだけどね。
この、『トンマッコルへようこそ』は、物語が作られた背景など、
日本人はそういうものを背負ってないということもあるけど、
ああいうシリアスなテーマを、皮肉や批判や希望も込めて
これだけの物語にしてしまう手腕に脱帽です。
期待していた通りに面白かった!8点です。
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by ginpei_chan | 2007-03-26 04:39 | 映画(た行)
ロシアのアレクサンドル・ソクーロフ監督とロシアのスタッフ、
そして、イッセー尾形をはじめとする日本人の俳優たちによって作り上げられた、
太平洋戦争終結直前の昭和天皇の姿を描いた『太陽』
去年、映画館で観たかったのですが、観逃してしまい、
しかし、企画上映という形で、年をまたいで映画館で観る機会を得ることができました。
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この映画、天皇ヒロヒトの日常を、その孤独と苦悩を通して描かれています。
かつて、僕たち日本人が、歴史の授業でも教えてもらえなかった、「天皇裕仁」。
太平洋戦争といえば、満州事変、盧溝橋事件、日中戦争、第二次大戦開戦、
真珠湾攻撃、マレー沖海戦、ミッドウェー海戦、レイテ沖海戦、硫黄島、
沖縄本土決戦、原爆投下、御前会議、玉音放送...
歴史の教科書には、開戦し、日本がどういう戦役を経て、停戦に至ったかが書かれている。
しかし、いつも、その戦争に於いて、最高意思決定機関の中心にいたはずの
唯一絶対の存在についての記述が、驚くほど抜けている。

神だったのかもしれない。人間だったのかもしれない。
好戦的だったのかもしれない。穏健的だったかもしれない。
傀儡だったのかもしれない。優秀な海洋生物学者だったのかもしれない。
何であれ、一種のタブーとしてこれまで語られなかった「彼」が、そこにいた。
それを描いてくれた監督、スタッフ、俳優たちに、素直に感謝したいと思います。

それに、主役の裕仁天皇を演じたイッセー尾形!
あの、独特の「あっ、そう」から、仕草から、無味乾燥的な佇まいから、
全てをまるで「彼」がそうであったのかのように「彼」になりきって、
「彼」の、最も近くにいた侍従たちにも理解されなかったであろう、
誰にも愛されない孤独や現人神たる苦悩をまざまざと体現してみせた。
おそらく、去年観たさまざまな映画の中で、最も印象的な演技だったのではないだろうか?
たとえ、実際の「彼」がそうでなかったとしても、
当時から60年以上が経った今、それを僕たちに「リアル=現実にあったこと」として
感じさせてくれることができるのは、彼しかいなかったのだと思います。
とにかく、静かでいて鮮烈、穏やかでいて圧倒的、そんな「裕仁」像でした。
素晴らしかった!

2時間ほどの作品の中で、舞台となるのは、彼が終戦間際に暮らしていた、
皇居内の海洋生物研究所と、マッカーサーに会いに行った連合国軍総司令部のみ。
映画館では、残念ながら寝息も聞こえていました。
でも、僕は、2時間の間、少しも眠くなかったし、確かに惹き込まれていました。
観終わった後、僕が、映画館での映画鑑賞体験の中でごく稀に感じる、
「凄い映画を観た。」
面白いとか、爽快だったとか、カッコよかったとか、エロかったとか、可愛かったとか、
そういうのを超えちゃったときに、ただ「凄かった」と感じることがあります。
去年でいえば、『ホテル・ルワンダ』『ユナイテッド93』
その前では『ミリオンダラー・ベイビー』『オールド・ボーイ』がそれに当たるんですが...
もちろん、誰が観てもそう感じるというわけではないと思いますが、
少なくとも僕個人にはフィットしてしまった。そんな映画だと思います。
ああ...久々に出逢えたよ、こんな映画に。
9.5点です。
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by ginpei_chan | 2007-02-21 16:43 | 映画(た行)
昨年暮れに公開されて、今年初頭にかけて大ヒットを記録した、
角川春樹製作の大作『男たちの大和/YAMATO』をDVDで観ました。
公開当時、大ヒットしていたので、映画館で観てもいいかな...とも思いつつ、
でも、なんか自分には合わなさそう...と感じて、スルーしました。
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で、レンタルで、しかも旧作に落ちるまで待っての鑑賞となりましたが、(笑)
今年の話題作だったので、年内に観ておこうと借りた次第です。

で。
まあ、ストーリーはアレです。戦艦大和の乗組員を、
乗艦から沈没、そして現代に至るまでを描いたドラマです。
主人公に反町隆史、中村獅童、共演に松山ケンイチ、蒼井優をはじめ、
山田純大、高知東生、長島一茂、勝野洋、本田博太郎、林隆三、奥田瑛二、渡哲也、
寺島しのぶ、高畑淳子、余貴美子などなどそうそうたる面子、
そして現代に舞台が移ると、鈴木京香、井川比佐志、仲代達矢などなど。
また、この映画、超豪華キャスト以上に見ものだったのが、
数億円をかけて造ったという、実物大の戦艦大和のセット!
なるほど大迫力のセットでした。

うーん。評価するとすれば、以上でしょうか。(笑)
というのはウソですが、最初に苦言を呈させていただくと、
主役のふたりを、松山ケンイチと蒼井優が食っちゃったなあってところですね。
ふたりのエピソードはとてもドラマチックで、二人も大熱演で素晴らしかったのに、
映画としては、やはり反町と獅童をよりメイン扱いで描いているので、
どこか全体的にピンぼけしている感じで、勿体無い感じがした。
僕にとっての、この映画のクライマックスは、松山くんが最後の上陸で、
母の遺影と対面し、蒼井優が泣きじゃくるシーンでした。

正直、2部作で撮ってさ、1本は松山ケンイチと蒼井優の青春ドラマで、
もう1本は、じっくり大和の戦いを撮っても良かったと思うのです。
それから、特に、“水上特攻”前の最後の上陸あたりが特に顕著なんですが、
松山ケンイチ演じる神尾克己を初めとする少年水兵のエピソードを
何人か分散りばめているんですけれども、
それぞれがいいエピソードだと思うんだけど、
ダイジェスト版みたいにそれぞれの描きこみが少ないので、
それこそもう1本に分けて、じっくり描いてほしかったと思うのです。
言うなれば、1本は「男たちの大和」でもいいけど、
もう1本は「少年たちの大和」なら良かったなあ...
と言いたいのです。
この映画、死にゆく兵士たちの家族の気持ちなどもよく描いているので、
それはいいところだと思うので、もっと描き出して欲しかったです。
なんか、いろんなものを詰め込みすぎで、でも、主演が味気ない二人なので
映画を観ていて、とても勿体無い気分になっちゃうのです。
製作者が、この映画で表現したいことを全て詰め込もうとすると、
たぶん4時間くらいになったんじゃないかな、と思う。
それを、2時間半くらいにまとめたのは凄いとは思うけど、
どうせなら、焦点を絞って、2本くらいに分けても良かったはず。
2時間半に削りに削った結果、少年兵たちが、
顔と名前が一致する前に映画が終わっちゃうし、
親友同士だったという反町と獅童と山田純大だけど、
山田純大の演じた唐木という男だけ、家族とのエピソードを付け足したくらいで
キャラクターの描き込みが絶望的に足りないし、
無理な編集のおかげなのか、突然レイテ沖の海戦のシーンになって、
それもアッサリと終わってしまうし、まあ、とにかく、
そんなこんなで全体的に描き込みが足りなくなってしまった気がします。
これは全て、僕個人が感じたことに過ぎないんですけどね。

最初にも述べたとおり、松山ケンイチと蒼井優ちゃんは素晴らしかった。
特に蒼井優ちゃん。
また思いました。「女優さんになっちまったんだなあ...」と。
あと、よかったのは、やっぱり大和のセット。なかなかの迫力でした。
それからそれから...あんまり無いなあ。(笑)

逆に、キャストでは、まず一番の大物渡哲也は、なんかイマイチだった。
何やっても一緒だな、この人。そう感じた。
長島一茂のキャスティングは意外だったけど、けっこう良かったかも。
逆に、奥田瑛二は、彼の魅力を活かしてない役で残念だった。
肝心の反町隆史は...苗字は反ってるけど、演じ方はとってもストレート。(笑)
獅童は...最初の柔道のシーンと懲罰のシーンは「おっ!」と思ったけど、
後の登場シーンは雑把だったなあ...
彼の恋人を演じた寺島しのぶも、正直笑っちゃったよ。(笑)
やっぱ、彼女を撮る監督って、どうしても彼女を脱がせようとするんだよね。
どの映画でもそうなんだよ。まったく。
なんか、彼女を、「ドキッ!女だらけの水着大会」に出てくる、
おっぱいポロリをやってくれるAV女優並みの扱い
なんだよね。(爆)
いや、それだけエロスを醸し出す演技ってのも凄いんだけどね。

あと、挙げるとすれば、所々に入るナレーション。
なんか、TVドラマ並みに安っぽくてびっくりした。
テレビ朝日の渡辺宣嗣アナがやっていたようなんだけど...
好きなアナウンサーだったんだけどなあ。なんか合わなかった。
そして、僕が鑑賞前から引っかかっていた、
また、この映画を映画館で観ない原因のひとつだった、某N渕氏の主題歌は...
意外と悪くなかった。うん。演奏にピアノが入ってたからかな。なんとなく。

大ヒットした作品だけあって、訴えるものは確かにあった。
でも、なんとなくボケていて、制作費任せの“単なる”豪華キャストで押し切る映画。
うーん。映画館で観たら、もっと感動できただろうか。
7点くらいにしておきます。
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by ginpei_chan | 2006-12-27 23:15 | 映画(あ行)
ちょっと日があきましたが、『硫黄島からの手紙』の感想をば書こうかと。
実は、今日の夕方『武士の一分』も観たので、そちらの感想も書きたいところですが、
先に書いておかないと忘れちゃうので。(笑)
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(ネタバレを多分に含みますので、未見の方はスルーをお願いいたします)

まず。
ハリウッド大作への出演が続く渡辺謙さんですが、
この映画でも、貫禄たっぷりに、主役の栗林中将を演じていましたね。
役柄もとても好感が持てるし、いわゆる軍人軍人した人物を主役に据えるよりも、
軍人の前に一人の人間であり、ひとりの父であり、夫であった栗林中将を通して
物語を描いたのは正解だった、正しい選択だったといえるでしょう。
彼の、どこか飄々としたところ、芯の強いところ、部下思いなところ、
それから、意を決して「天皇陛下、万歳!」と叫ぶところなどは、
観ている側ごしても、とても感じ入るところがありました。

それから、もうひとりの主演ともいえる西郷役に嵐の二宮和也。
残してきた妻と、お腹の中の子供の行く末を案じ、密かに生に執着する彼。
諦めなのか、達観なのか、どこか冷めている性格。
彼の存在は、とてもリアルでしたね。
まあ、今の時代から見てリアルなのであって、当時は異色の存在だったでしょうが。
でも、彼のようなキャラクターを描くことも、
この映画を成立させるために必要だったのでしょう。
二宮くんの演技も素晴らしかったと思います。

それから、元馬術競技の五輪金メダリスト、バロン西。
演じたのは伊原剛志です。
まあ、当時から海外に出て活躍した進歩的な人間というのは
あんなもんなのでしょうか...ちょっと浮いてる気もしましたが。
彼の死に様など、とても感じ入るところはありましたが、
たいへん常識人で、ちょっと有り得ないなーと思ってしまいましたが...(笑)
伊原剛志、熱演でよかったんですけどね。

あと、憲兵隊出身の清水を演じた加瀬亮くん。
彼は良かった!演技も、役柄も、彼の最期も。
うん。よかった。
彼が、アメリカ兵の持っていた手紙の内容に心を動かされたシーンとか、
西郷と行動を共にするようになってからの、二人の空気感とか、
二人が戦場という修羅場でいかにちっぽけな存在だったのかとか、
そういう描き方がとても印象的でした。
加瀬くん、いい役をもらいましたね。
そして、それをしっかり演じてくれましたね。

それから、忘れてはならない、伊藤中尉を演じた中村獅童。
まあ、メインキャストでは、彼に損な役回りを集約させた感じですね。
イメージとして、当時の軍人はあんなもんだと思ってましたし。
時折彼が出てくるシーンが挿入されているんですけど、
その、「忘れた頃に伊藤」ってテンポが面白かったですね。(笑)

役に関しては、みんな頑張っていたと思います。
ただ、映画が描きたいことを分かりやすく、また、
アメリカの観客にも、日本人の精神性を理解させるために、
そしてそれをドラマチックに描くために、
メインキャストそれぞれを、ある意味ステレオタイプに描いてしまったのかな。
もちろん、それはそれでリアリティを持って訴える力を備えることになったのだし、
非常にドラマチックな物語として成立したのだし、結構なことなんですけど。
まあ、ある意味ドラマだなあ、とも思うのです。

前作の『父親たちの星条旗』とは違い、この映画は、「死者は語る」。
死者に語らせること、死にゆく人間とその想いを描くことで、
その哀しさ、儚さを感じることはできますが、
『父親~』は、生者に語らせる、生者の苦悩を描く物語。
このへんの対比も面白かったですね。
ラストで、現代まで生き残った「硫黄島」がベッドで逝くのに比べ、
現代になって、調査隊に掘り起こされる「硫黄島」。
ラストシーンも、浜辺で子供に戻ったようにはしゃぐ兵士たちと、
栗林中将の最期を見届けたあと、戦い終わって日が暮れて、
の穏やかな浜辺をぼんやりと眺める西郷。
両方、素晴らしいラストシーンでした。
やはり、この映画は2部作両方観るべきだと強く思います。

イーストウッド、老いてますます盛ん、でしょうか。
次に、どんな題材を選ぶのか、とても楽しみなところです。
この「硫黄島」2部作の反動で、アクションとかサスペンスの、
エンターテイメント系の映画を撮ってくれたら、それはそれでとても楽しみなんですけどね。
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by ginpei_chan | 2006-12-17 23:38 | 映画(あ行)
先週土曜日に観てきました、『硫黄島からの手紙』
少し、観てから時間も経って、いろいろと冷静に振り返ることができるかな、と思います。
この作品は、クリント・イーストウッドが製作・監督・音楽を担当。
さきに公開された、『父親たちの星条旗』との「硫黄島2部作」の対を成す作品です。
『父親~』で脚本を書いたポール・ハギスは、今回は脚本家の日系人アイリス・ヤマシタと
共同で脚本の原案を担当し、製作総指揮も担っている。
脚本そのものを実際に執筆したのはアイリス・ヤマシタ。
また、『父親~』のスタッフがほぼそのまま参加し、
撮影はトム・スターン、美術はヘンリー・バムステッド、編集はジョエル・コックス、
衣装はデボラ・ホッパーと、スタッフはそのまま「イーストウッド組」の面々。
美術を担当したヘンリー・バムステッド氏は、この作品に参加したものの、
完成を待たずして他界したそうで...ご冥福をお祈りします。
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さて。
ストーリーに関しては、もうTVや雑誌のプロモーションで散々書かれているとは
思いますので、あえてここは割愛。
栗林忠道中将率いる日本陸軍と米軍の、太平洋戦争上重要な戦局と謳われた
「硫黄島の戦い」を、前作『父親たちの星条旗』とは逆に、
日本軍側の視点で描いたものがこの『硫黄島からの手紙』です。

御国のため、天皇陛下のため。
そのためなら喜んで死んで、靖国神社でまた会おう。
彼らは、軍人として、その道に殉じてはいても、彼らは今際の際まで、
誰かの父親で、誰かの夫で、死ぬのが怖くて、誰かを愛する、ひとりの人間だった。
そして彼らは、猛烈な暑さと強烈な硫黄臭の吹きつける小さな孤島で、
いつしか生きては帰れないだろうということを悟りながら、
家族を気にかけては手紙をしたためては、届くかも分からないその思いを募らせていた。
盲目的な鬼畜米英主義だと思われていた、または僕らがそう教えられてきた、
かつての「大日本帝国陸軍像」とはうってかわって、そこには、
僕らが心から尊敬し、敬愛するべき父たち、祖父たちが確かに描かれていた。
それでも、彼らは、「天皇陛下、万歳!」と、軍人として死んでいった。
米軍の計画よりも、はるかに長くの日数を生きながらえ、抵抗したあとに。

やはり、僕は思ってしまう。
彼らが、ここまでの思いを託し、遺したこの日本という国は、
今、彼らの思いに応えることができているのか。
何故、僕らは、戦後60年を経てまで、彼らのことをこうも知らずに育ってきたのか。
戦後60年を経てなお、外国人の映画作家に諭されるまで、
硫黄島の戦いのことを、彼らのことを識ろうとしなかったのか。
ときに、人間は、過去を猛省し、自分たちの弱かった部分をひた隠し、
その部分を殴りながらじゃないと前に進めないことがある。

本当はそうではないのかもしれないが、器用に物事を運べないのもまた人間である。
だが、今、「愛国心」を教育基本法に盛り込むとか、
政治家が靖国神社を参拝することに、アジア諸国の反日感情に遠慮しようとか、
集団で虐める子供、虐められて自ら命を絶ってしまう子供、大人もまた然り、
道徳や倫理が乱れ、家族を、親を、友人を、全くの他人を敬わない人間が増え、
きっと、誰もが、この国がどこかおかしくなっていると思っている。
硫黄島で命を落とした彼ら、太平洋戦争で命を落とした彼らは、
こんな子孫を、こんな日本の未来を望んだのだろうか?
(戦争の発端が、どのような理由だったにしても、だ)

きっと、硫黄島をあっさりと陥落させたら、そこを足がかりにして
本土への空襲、上陸が早まっただろうし、
僕らの父や母にも、命の危険が及んだかもしれない。
硫黄島の彼らは、僕らの両親を、日本の美しい本土を守るために散っていった。
あの島で、遠い南の孤島で、荒涼な島で、たくさんの想いを抱えながら。
僕らは、やっぱり、彼らの思いに報いる義務があると思う。そう感じました。

自分が無知だったことを恥ずかしいとも思ったし、もっとこの国のことを知りたいと思った。
そうすべきだと思うし、それは思想の右傾化とかそういうことじゃなくて、
この国の歴史を、ひいては僕らの祖先という「人間」を知らないといけない、と。
きっと、僕らが、学校の歴史の教科書で学ぶ「太平洋戦争」といえば、
真珠湾襲撃とか、広島と長崎の原爆投下や、ポツダム宣言受諾とか、
それらが起きた「日付」という数字を憶えて、
テストの解答用紙の空欄を埋めるくらいの意味しかない。


本当は、もっと映画について書きたかったけど、今日はこのへんで。
先に、こういう話ばかりを書いたんだけど、先に吐き出しておきたかったから。
観終わった後、たくさんの思いが去来して、胸がいっぱいになった作品でした。
この作品の採点としては「9.5点」をつけたんだけど、
『父親たちの星条旗』の9点とは、0.5点しか違わないけど、
あの作品も、とても重要な作品だと思います。
今回のこの映画も、ひとつ、僕の映画鑑賞史の中でも記念碑的な作品になりました。
今年は、『ホテル・ルワンダ』といい、『ユナイテッド93』といい、
それが過去にあったことでも、人間の本質に迫った作品に傑作が多く、
こういう作品を観ることを通して、いろいろと考えさせられることが多い一年でした。
(まだ終わってないんだけどね(笑))

また、映画については、おいおい書いていきます。
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by ginpei_chan | 2006-12-13 19:22 | 映画(あ行)
先頃惜しまれながら他界した映画監督・黒木和雄の、
「戦争レクイエム」三部作の中の作品です。
主演は、俳優・柄本明の息子で、『69』『チェケラッチョ!!』にも出演していた柄本佑。
共演に、小田エリカ、牧瀬里穂、石田えり、中島ひろ子、香川照之、原田芳雄。
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主人公を演じるのは柄本佑くんなのですが、
勤労動員されていた工場で空襲に遭い、親友を見殺しにしてしまったことを悔いて
ただ毎日、霧島にある祖父の家で、祖父に罵られながら
陰鬱に毎日を過ごすのみだったという役柄。
その彼が、やりきれない思いをぶつける先を探して彷徨うのが物語の柱なんですが、
それよりも、サイドストーリーの女の生き様のほうが見ごたえがありましたね。
牧瀬里穂や石田えりは女の情念を感じさせる役だったし、
『ワンダフルライフ』以来に観た小田エリカも瑞々しくて良かったです。
また、黒木監督作品の常連なのであろう、原田芳雄もさすがの存在感でした。

映像も良いし、なかなかの戦争映画でした。
ただ、黒木監督のこの後の作品、『父と暮せば』に比べると、
鮮烈さが無くて物足りなかったかなあ...と思います。
『父と暮せば』、良かったですよ。
この映画は7.5点かな。
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by ginpei_chan | 2006-11-06 13:14 | 映画(あ行)
2日(木)にこの『父親たちの星条旗』、3日(祝)に『手紙』と連チャンで観てきました。
この2日間、濃かった...(笑)

さて、一息ついたところで、『父親たちの星条旗』、参りましょう!
僕が、今年下半期で一番期待した映画です。
ベストセラーの映画化権をスティーブン・スピルバーグが獲得し、
スピルバーグがクリント・イーストウッドに監督を依頼。
イーストウッドが製作・監督・音楽を担当、
イーストウッドと組んだオスカー受賞作『ミリオンダラー・ベイビー』で脚本を担当、
また自ら監督もした『クラッシュ』がこれまたオスカーを獲得したポール・ハギスが
今回も脚本を担当したという、
現在のハリウッド随一といってもいいスタッフが揃った作品です。
それでいて、原作がベストセラー。
もう、これに期待しなくて何に期待するのですか!?(笑)
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太平洋戦争でも特に激戦と謳われた「硫黄島の決戦」を、
アメリカ側から見た物語と日本側から見た物語の二部作に分けて製作、
この映画は、アメリカ側から見た「硫黄島」の物語です。

この、誰もが見たことがある、硫黄島の擂鉢山の頂に、米兵が星条旗を掲げる写真。
この写真が、戦争に疲れきっていた兵士たちや国民を奮い立たせるための
戦意高揚のプロパガンダに利用されたという写真ですが、
この写真が撮影された背景と、
星条旗を掲げた兵士たちがその後どんな運命を辿ったのか、
それを克明に描いた、現代ハリウッド最高の映画作家・イーストウッドの渾身の一作です。

もう、ストーリーはリンク先をご覧いただくとして、
ただただ素晴らしい作品という一言につきます。
観たばかりで、まだ余韻に浸っているところだからかもしれないのですが、
いやはや素晴らしかった。観てよかった。
『プライベート・ライアン』で描かれた、ノルマンディー上陸作戦のシーンに勝るとも劣らない
大迫力でしかし凄惨な戦闘シーンが続くかと思いきや、
「星条旗を掲げたヒーロー」として戦時国債の販促キャンペーンで全米を回る兵士たちの
葛藤と苦悩をじっくりと描き、
その一連の事件を回想する形で時間軸が現代に引き戻される。
主にその3つの時間軸で描かれるのですが、これが全く違和感がなかった。
そして、さらに『プライベート・ライアン』と比較するなら、
これがアメリカ万歳的な、星条旗よ永遠に的な、
戦争全面肯定プロパガンダに全く陥っていないのがよかった。
戦場で死と隣り合わせに身を置かれた若者たち、そこから引き離されて
シャンパンと食堂車と高級ホテルで全米を連れ回された若者たち、
息子たちを戦場に送った家族や恋人、
彼らすべてをしゃぶりつくして損ない切った政治家たち。
誰を幸せにするための戦争だったのか分かりゃしない。

ストーリーはそのくらいにして。
キャストは、いわゆるビッグスターのような人は配役していないものの、
皆素晴らしい演技でした。
個人的には、特に、アイラを演じたアダム・ビーチ(戦争+ネイティブ・アメリカン=彼?)と、
マイクを演じたバリー・ペッパーが良かったですね。
それから、もちろんドクを演じたライアン・フィリップも良かった。
また、ハンク役がポール・ウォーカー、イギー役がジェイミー・ベルというのは
実は観ていて気づかなかったので、また次回確認してみたいです。

それから、今回も音楽はイーストウッド本人が担当したのですが、
やはり素晴らしかったですね。
特にピアノの旋律が映像にとてもよくマッチしていて。

で。
この映画を観ていると、
本当にいろんな感情が湧き出て吹き出て凄い映画だったんですけれども、
この映画の言いたかったことというのは、ラストシーンに集約されていたと思います。
敢えてここでは詳しく述べませんが。
この映画のラストシーンのモノローグとバックの映像は本当に素晴らしかった。
最近の映画で、こんなに素晴らしいラストシーンを観た記憶は無いです。

もう、本当に文句の付けようのない映画だったんだけど、
それでも敢えて注文を付けるとしたら、
物語の中心になる兵士たちが少なくとも6人以上いるので、
それぞれの人物像の把握が難しく、顔を覚えるのも難儀だったということ。
(まあ、これは、僕の理解力不足ともいえるのですが…)
なので、もう一回観て確認したいと思います。

うん。やっぱりもう一回映画館で観たい。
映画館の大スクリーンと大音響で観る価値のある映画だったと思います。
期待して待っていて良かった。9点です。
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by ginpei_chan | 2006-11-03 03:21 | 映画(た行)
ヨーロッパで、「タブー」とされるアドルフ・ヒトラーの生涯を克明に追った、
『ヒトラー ~最期の12日間~』を観ました。
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主演は、ブルーノ・ガンツ。
マツケン様主演の『バルトの楽園』にも出ています。
彼が、アドルフ・ヒトラーの自殺する前の12日間を熱演してます。
いやあ、僕はヒトラーの映像なんてのは何度も見たことありますが、
(なんせ、大学の卒業研究がホロコーストでしたから・・・)
その自決する前なんてのは見たことありませんでしたが、
なるほど彼の演技は完全に納得できました。素晴らしかった。
物語は、ヒムラーが去り、ゲッベルス、シュペーアなどの側近たちと
「狼の巣」で過ごした最期の日々を、
秘書としてともに過ごした女性の目を通して描いたものです。
たくさんの人間が出てくるので、人間関係は半分は分からないままの鑑賞でしたが、
なんか、もう、意地だったり誇りだったり宣誓だったり退廃だったり自決だったり、
最期のときが迫っているのを迫真の映像で魅せてくれます。
追い詰められた人間たちの姿が、カウントダウン的に描かれていて圧倒されます。
ヒトラーの最期もあっけないもので、周囲も取り乱すことなく、淡々としていて
すごくリアルだなあと思いました。
全く興味の無い人ならスルーしていい映画だと思いますが、
歴史モノが好きな人、伝記モノが好きな人なら楽しめるかな。
なかなかの力作でした。8点。
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by ginpei_chan | 2006-08-04 17:42 | 映画(は行)
湾岸戦争に従軍した海兵隊の著書を映画化した『ジャーヘッド』
主役にジェイク・ギレンホール、共演にジェイミー・フォックス、ピーター・サースガード、
それにクリス・クーパーもチョイ役で出演する、実力派俳優揃い踏みの戦争映画です。
監督はサム・メンデス。
過去の監督作品が『アメリカン・ビューティー』『ロード・トゥ・パーディション』という
クオリティのアベレージがすごいことになってる監督さんです。
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自我崩壊に追い込まれるようなアメリカ国内での訓練から、
狙撃手として従軍し、そして「一発も撃たずに終わった」退屈な戦争を描いています。

(以下チョイとネタバレあり)
これは、うーん、どう表現していいのか分からないけど、
僕の趣向、精神にはずどーんときた映画でした。
それは、主役のジェイク・ギレンホールに、というよりは、
彼のパートナー役だったピーター・サースガードに対するものかな・・・。
彼の演技を見たのは、先日の『フライトプラン』が最初だったんだけど、
今回の役柄には吸い込まれてしまいましたねえ・・・。
きっと、日常生活でなかなかうまくいかないドン詰まり状態で、
何かを変えたくて従軍して、それがエリート集団に選ばれて、
もう少しで、自分の中に誇れるものが生まれそうなときに、
それが生卵が床に落ちるみたいに
ぐしゃっと潰れてしまったときの絶望感といったら・・・。
きっと、彼は、武勲を挙げることで、誰かを殺すことで、
何かが変わると思ったんだろうなあ・・・。
そして、一発も撃たずに戦争が終わってしまった。
彼らが帰国して除隊した後のエピソードは、とても切ないものでした。
僕は、あまり映画の登場人物に入れ込むことはないんだけど、
なんか、彼の姿にはず~んときてしまいました。
終わってからも、ため息ばかりついていました。(笑)

まあ、それにしても、アメリカの超富裕層のフトコロを暖めるためだけに
戦場に送られて人殺しをさせられる兵士たちと、殺される側の油田を持った国々。
映画でここまで描かれるようになってからも、アメリカ国民は「強いアメリカ」を望む。
まったくもって不思議な国と言わざるを得ない。

訓練の描写も面白かったし、彼らが戦場で「退屈な」日常を送っている描写も面白いし、
重油の雨が降る砂漠も迫力があって面白かった。
ユーモラスな描写の中に、様々な生き方が交錯する、深い作品でした。
きっと、この映画、観ても何も感じない人もいるだろうし、
まれに、僕のようにずどーんとくる人もいるかもしれない。
そんな映画ですが、僕は観てよかった。感謝してます。8.5点。
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by ginpei_chan | 2006-02-20 01:29 | 映画(さ行)
宮沢りえと原田芳雄の(ほぼ)二人芝居、『父と暮せば』
監督は黒木和雄。戦争モノを多く手がけてきた監督のようです。
『美しい夏キリシマ』も、この監督の作品。
早く観たいんだけど、まだ観れていません。
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観ていて、「舞台っぽいな~」と思って、後で調べたら、やっぱり舞台作品でした。
映画版は、それに、少し視覚効果を足してみた感じでしょうか。

広島に落ちた原爆を生き延びた美津江が、父と家で会話を交わす、
本編のほとんどはそんなシーンで構成されてます。
美津江が出会った大学院生の木下という青年が出てきますが、ほんの少しだけ。
ほとんどが、美津江と父の二人芝居です。
しかし、この二人芝居、ちょっとワケあり。
映画を観始めてしばらくすると、そのワケが分かります。

しかし、この宮沢りえと原田芳雄の父娘の会話というか、そのかけあいが素晴らしい。
とても楽しくて、でもちょっと切なくて、
父の思い、娘の思い、心の動き、それらがとても上手く表現されてます。
原田芳雄は言わずもがなですが、宮沢りえって、本当にいい役者さんになりましたね・・・
原田芳雄も、宮沢りえも、広島弁を(たぶん)完全にマスターしていて凄い。
本当にいい。アイドル時代から見ている僕の世代からすると感慨深いです。

美津江は父に、勤め先の図書館で出会った木下という青年の話をして、
父は美津江に、恋をするように励ますけど、美津江はそれを拒み続ける。
次第に美津江は、恋を避ける訳と、父への思いを吐き出す。
このへんの心の揺れを表現できるのは、本当に宮沢りえだけじゃないかと思ってしまう。
そしてそれを聞いた父が映画のラストで家を出ていくシーンがとても鮮やか!
こんなに素晴らしい映画なのに、あまり話題にならないなんて!
観ないと勿体無いですよ、コレ。
久々に9点です。
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by ginpei_chan | 2005-08-08 00:04 | 映画(た行)